こどもの城閉館について、厚労省は
「この先10年の間に大規模修繕を行わなければならず、その見積もりをとってみたところ、117億円かかることがわかった。
この予算を出すことができないので、閉館します」
という見解を示しています。
また、青山劇場、青山円形劇場については、「こどもの城と電源を同じくしているため、こどもの城閉館に伴い、同じく閉館することになる」としているようです。
「事業仕分けで閉館が決まったのでは?」という声もありますが、実際のところ、2010年の省内仕分けでは存続の判定がされていました。
厚労省が今年(2012年)の9月7日に発表した行政事業レビューシートでも、厚労省自身が「年間80万人前後の来館者があることから、広く国民のニーズがあり、優先度が高い事業であるといえる」としています。
厚労省自身が「優先度が高い事業」としていたにも関わらず、誰がどこでどう覆して「閉館」になったのでしょうか。
11月14日に厚労省担当者と面談の際に聞いてみたところ、次のような回答がありました。
・2010年の省内仕分けで存続の判定がされていたのに、どうして非公開の場の議論で結論がくつがえったのでしょうか?
→2011年の東日本大震災の影響が大きい。あれを機に建物の修繕について検討するようになり、その結果修繕費が出せないので、閉館、ということになった。
2010年の時点と大きく違うのは、その点です。
・全国の児童館のナショナルセンターとしての役割は今後どうなるのですか?
→地方の児童館を活性化させるよう指導することに重点を置いていく。
・「こどもの城」を閉館する、というのは、国の少子化対策や子育て支援とは真逆の方向に進んでいる、と思われてもしょうがないと思いますが、いかがでしょうか?
→民主党政権になってから、子育てに関しての予算は倍近くになっている。こどもの城、という象徴を閉館しても、今回新しく制定された「こども子育て新システム」という法律で十分支援できるので、それをみていただければ。
・今年6月21日成立した「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」の「劇場、音楽堂などに関する施策を講ずるにあたっては、短期的な経済効率性を一律に求めるのではなく、長期的かつ継続的に行うよう配慮する必要がある」という精神や、9月7日に採択された「文化芸術政策を充実し、国の基本政策に据えることに関する請願」にある「採択文化芸術政策の充実のため、必要な予算を確保することを求める」という内容に反していると思われるが、その点は?
→文化庁へは事後報告だったが、我々の理解では、法律には反していないと考えている。我々の理解では。
以上です。
担当課長が何度もおっしゃっていたのが、
「とにかく、『たけくらべ』です。『117億円の予算』と、『こどもの城、青山劇場、青山円形劇場』との相対的な価値を比べたとき、閉館せざるを得ない、という結論になった」
という言葉でした。
国家予算が倍になれば、閉館は撤回する、とも。
最近、「結局のところ、なんで閉館になるの?」と聞かれる機会が多くなったので、ここにまとめておくことにしました。
疑問などございましたら、メッセージをいただければと思います。