日本共産党の笠井亮衆議院議員が、 疑問だらけのこどもの城・青山劇場・円形劇場閉館問題について、 厚生労働省に説明を求め、私もその説明の場に同席させていただき、議員といっしょに疑問点を聞いてきました。

多くのみなさんが疑問視している、閉館理由の「老朽化」。厚生労働省から、「老朽化の意味がよく伝わっていないようなので」と、一枚のペーパーが配られました。

「国立総合児童センター 震災影響建築物調査報告書」概要版。

調査目的には「大震災の影響による被害状況の把握と、今後の施設維持管理計画の確認を目的とする」とあります。

診断結果による総合所見は、「非構造部材またはそれとの構造体との取り付け部に安全性が確認できない箇所があり、建築非構造部材が大地震動によって脱落した場合、人命に与える影響はきわめて大きいと想定される。そのため速やかな対応策が必要であり、遅くとも10年以内に大規模修繕することを提言する」とあります。

つまり、建物の基本の駆体は安全性は再度確認されたが、外壁のタイルや天井板や照明などは大地震で落ちる可能性があるので、大規模修繕を10年以内にしようという提言です。この報告書は昨年12月にできたものですが、どこにも閉館しようということは書かれていません。存続は当たり前の前提で、修繕しようというのがこの調査報告書の結論でした。

実際、近隣の施設を調べると、NHKホールは1973年落成、08年に老朽化・安全対策工事をしています。東急百貨店本店は1967年開店し、何度かリニューアルをおこなっています。1985年完成のこどもの城は、新しい耐震基準でできており、修繕しながら使えば、長期に使えます。

このペーパーは、次に、「施設維持管理計画(今後30年間を想定)」とあり、大規模改修の概算工事費は117億円と書かれています。この117億円は「中期保全計画等から算出した値」と書かれていて、かなり大ざっぱな値のようです。大規模改修後の年間修繕費用は、1〜2億円/年と書かれています。

厚生労働省は、老朽化による大規模修繕に117億円かかることをふまえて、総合的に判断して、閉館を決めたと説明しました。

これがどの程度の財政負担なのか、はっきりさせたいと思い、現在の毎年の修繕費用をうかがいました。そうすると「今年度の修繕費用は3億円。その前は5億円とか」という説明がありました。

117億円かけて30年使えるようになるとすると、後年度負担のような考えでならすと1年で約4億円。それに想定される年間の修繕費を加えても、毎年の修繕費用はならせば5〜6億円ということになります。

かなりの歳出カットをしている現在でも3〜5億の修繕費用をだしているのですから、5〜6億円というのは、たしかに年間1〜2億円の上積みは必要ですが、閉館を決断するほど、極端に支出が増えるわけではありません。

このことを指摘しましたが、「117億円は大きい」「政策的判断」と繰り返されました。これまでの存続方針から、閉館方針にいつかわったのかについてきいても「オープンにできない」という、まったく納得のできない回答が返ってきました。

結局、来年度予算の概算要求の編成基準で「特別重点要求」以外は、一律10%カットとされましたが、こどもの城・青山劇場・円形劇場がその犠牲にされた形です。

学校だって市役所だって家だって、どんな建物だって修繕しながら使います。

まだまだ使えてニーズの高い国民の財産である施設を、修繕費用をかけたくないからと閉館する方がよっぽど血税のムダづかいではないでしょうか。

何がムダ使いかは、人によって見解のわかれるところもあると思いますが、一方で、たった16キロメートルの赤字高速道路に1兆円以上の税金を投入する計画をスタートさせながら、一方で、年間1〜2億円の修繕費用の上積みすら拒んで子育て・文化施設を閉館させるというのには、子育てや文化という人間の営みをあまりにも軽視しているといわざるをえません。

ここまでで長くなってしまいました。以下、できるだけ短く書きます。

発達障害のケアやこどもの心のケアなどをおこなっている小児保健部の事業はどこが受け継ぐのか?と聞きましたが、「患者さんには閉館の丁寧な説明をする。事業を今後どうするかの検討はこれからおこなう」

こどもの城は国立の児童館として、子ども向けプログラムを開発して全国に普及するという役割を果たしているが、この機能はどうしようと考えているのか?をたずねましたが、「2年半あるのでこれから検討する」とのこと。

心の中で、叫びたくなりました。閉館という重大な方針を決めておきながら、あまりにも検討不足です。今までこどもの城は「優先度が高い事業」と自らいってきたのに、その優先度の高い事業を、今後、国としてどう責任をもつのか、検討されていないのです。
 
演劇関係者から青山劇場・円形劇場の存続の要望が強いことをつたえると、「こどもの城と青山劇場・円形劇場は、主電源など一体の施設であり、こどもの城が閉館になれば、劇場も閉館になる」という説明。

みなさんから質問がよせられていた、閉館後の建物・敷地がどうなるのか?、民間あるいは東京都あるいは渋谷区に建物ごと売却・移管するようなことは考えられるのか?という点についてきくと、「これから2年半の中で、いろんな選択肢が考えられる」という回答でした。

最後に、こどもの城の運営を委託している財団法人児童育成協会の職員の多くが2年半後に職を失うことについての責任について聞きました。「再就職のあっせん、相談にのりたい」とだけいいました。情熱を傾けて、こどもの城の運営にあたっている職員のみなさんの仕事を奪うということに胸が痛まない人はいないと思います。国民の雇用を守る元締めの厚生労働省が職を奪うというのも本当にひどい話です。

さて、多くの方から、10月6日の作戦会議に向けての意見がよせられています。10月6日は運動会や仕事や先約で行けないのでまた作戦会議をやってほしいという声もよせられています。平日の夜がいいのか、土日の日中がいいのか、ご意見お寄せください。
お願い
 それから、メールをいただいた方のうち、「はらぺこちゃん」さんだけ、なぜか、メールの返信がうまくできません。原因はわからないのですが、空メールでいいので再度送って頂けないでしょうか。

10月6日についての重要なお知らせ

もうひとつ10月6日ですが、厚生労働省も私のブログを見ていただいているようで、こどものための福利厚生施設であるこどもの城の中での作戦会議は遠慮してほしいというメッセージが来ましたので、こどもの城前のこどもの樹で集合した後、付近の話し合える場所に移動します。遅れてくる場合は、私のツイッター( @miyamototooru)に連絡をお願いします。