2012年9月28日、厚生労働省は、突然、「こどもの城」の閉館を発表しました。併設している青山劇場、青山円形劇場もなくすとされています。

ツイッターで「こどもの城」と検索してみたら、利用者からは、「渋谷は東京児童会館がなくなったばかりなのに。なくさないで」、「大ショック、青山円形劇場にしかできない演出がたくさんある」など、残念がる声が次々でてきます。

渋谷で子育てをするわが家は、もともと無料の東京児童会館を利用していましたが、東京児童会館は大震災で休館になり、そのまま2012年3月末に閉館されました。それ以降、休日の雨の日は「こどもの城」にたびたびお世話になってきました。こども向けのコンサートを楽しんだり、工作を楽しんだり、アスレチックを楽しんだり。

娘に「こどもの城」閉館のニュースを伝えると、「壁に絵の具でかけて楽しいのに。どうしてなの?」と何度も聞かれました。4才の娘に、納得のいく説明はできそうにありません。どう考えても、こどもの城閉館は、大人の世界の勝手な都合だからです。

こどもたちが楽しみながら、成長して行く場を、一方的に奪い取るようなことはやめてほしい。

ツイッターを見て、こどもの城を利用しているお父さん、お母さんも、同じ思いを持っている人がたくさんいるんだなと思いました。かけがえのない発表の場をなくさないでほしいという思いを持たれている、青山円形劇場や青山劇場を利用されている方々がたくさんいることを知りました。

利用者の声も聞かずに、一方的に閉館を決めるというのは、民主主義にもとります。
ひとりひとりの力は小さいけれど、みんなで力を合わせて、厚生労働省の決定をくつがえしたいと思っています。

こどもの城閉館の「理由」への疑問1
「建物はまだ十分使用に耐えられる」

厚労省発表では「建物の老朽化が進行しており、現在の機能を維持・継続することは困難」。しかし昨年の文書「財団法人児童育成協会の改革案について」では「こどもの城は、調査の結果、建物はまだ十分使用に耐えられることが確認されているところ」とあります。

省内仕分けの議論の中では、雇用均等・児童家庭局育成環境課長は、リニューアルについて問われて、「調査をして建物自体は大丈夫だという証明をいただいたのですが、水関係、電気関係等の、中の設備がかなり傷んでおりまして、それを10年計画で整備を進めています。この整備については、国が直接やっています」とこたえています。

つまり、建物は使える、中の設備は補修が必要で、10年計画で整備の真っ最中だというのです。それがどうして、突然、「老朽化で維持・継続することは困難」になったのか。まったく不可解です。

閉館をまず決めて、もっともらしく聞こえそうな理由をでっち上げたのではないかという疑問を持たざるをえません。

こどもの城閉館の「理由」への疑問2
「優先度の高い事業である」

厚生労働省は、「開館(昭和60年)当時と比べ、地方自治体で、児童館や地域子育て支援拠点の整備等が進んできたこと」とあたかも、ニーズがもうないかのような説明をしています。

ところが、厚労省の平成24年行政事業レビューシートでは、「年間80万人前後の来館者があることから、広く国民のニーズがあり、優先度が高い事業であるといえる」と書いてあります。

確かにピーク時に比べて利用者は減っていますが、休日は、たくさんのこどもであふれています。少子化の急激な進行の中でも、これだけ利用者がいることは、ニーズの高さを示しているのではないでしょうか。

さらに、省内仕分けの記述を見ると、児童育成協会理事長は児童館について「最近では廃止、縮小、閉鎖がどんどんでてきています」と述べています。実際、渋谷にあった大型児童館である東京児童会館もなくなりました。とりわけ、渋谷ではこどもの城のニーズはより高まっているのではないでしょうか。

本当の理由は、ただのコスト削減ではないのでしょうか
ならば、削るべきところが間違っていると言わざるをえません。