こどもの城にいき、職員の方にお話をうかがってきました。一般の職員のみなさんへの「こどもの城閉館」の説明は、驚いたことに厚労省の発表の前日だったとのことです。職員にとっても「寝耳に水」だったのです。

こどもの城は、「財団法人 児童育成協会」が国からの委託で運営しています。財団の収入は24年の予算で約25億3000万円ですが、このうち、国の補助金がこの間、大幅に削減されています。2008年度6億500万→2012年度4億1700万、そして2013年度予算にむけての概算要求は3億3700万。6年の間に4割以上の補助金カットです。

経費削減の努力ではとても足りず、職員のみなさんは、自分たちの給料を下げながら、この仕事を続けたいと頑張ってきたそうです。「こども達に閉館のことを聞かれるのがつらい」とおっしゃっていました。立場上、話せないこともあるのでしょうが、話のはしばしから、こどもへの愛情と仕事への誇りを感じました。

東京都児童館が閉館になったので、「こどもの城」の利用者が増えているのではないかと思い伺うと、「その影響かはわかりませんが、このところ、徐々に利用者は増えています」とのことでした。閉館の理由とされた「老朽化」についても伺うと、やはり「建物の耐震性は問題ないという評価をいただいている」とのことで、10年間の修繕計画が進行中との話でした。

「閉館させないためにがんばる」という激励電話もきているそうです

「財団法人 児童育成協会」は、施設を利用しての、こどもの城の事業、劇場の事業、ホテルの事業と、保育園などへのスキムミルクの供給事業をおこなっていますが、施設閉館で残るのは、スキムミルクの供給事業だけということでした。

閉館で心配されることを伺うと、「子どもの時から常連できている障がい児(もう大人ですが)もいるので、彼らの居場所がこれからどうなるのか心配」という話が一番初めにでてきました。

こどもの城の施設では、私たちがなじみのある、児童館としての遊び場や劇場だけでなく、こどもの心のケアの事業から面会交流の場として利用されいてることまで、実にたくさんの役割を果たしています。幼稚園や一時保育の事業もおこなっています。それだけにこの施設がこのまま閉館されたら、大きな影響を受ける人がたくさんでます。
 
劇場閉館のニュースを受けて、文化団体関係者から、閉館させないためがんばるから、と激励の電話もあったそうです。

それにしても、利用者の声も、職員の声も聞かずに突然廃止を発表するというのはあまりにも乱暴です。

国会の決定違反

青山円形劇場、青山劇場の閉館をやめさせるため、使える法律などがないかと調べてみたら、文化関係者がこの数年署名運動をやるなどの努力で、この9月、国会史上はじめて、文化芸術政策の充実を求める国会請願が採択されていました。請願の項目には「国民の実演芸術創造と享受の機会の拡充」「必要な予算の確保」などがあります。

こんなことが国会で決まった月に、劇場の閉館を決めるとは、国会無視もはなはだしいのではないでしょうか。青山円形劇場などは、厚生労働省の所管になっているので、文化関係の国会決議は、目に入っていないということなのでしょうか。

さらに、今年、6月に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が公布されています。この法律の前文には、「文化芸術の特質を踏まえ、国が劇場、音楽堂等に関する施策を講ずるに当たっては、短期的な経済効率性を一律に求めるのではなく、長期的かつ継続的に行うよう配慮する必要がある」と、今回のようなやり方に釘をさす一文があるではありませんか。青山円形劇場、青山劇場の廃止はこの法の精神に反しますね。

 調べれば調べるほど、今回の厚生労働省の閉館決定に、怒りと疑問がわいてくるのは私だけでしょうか。
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