週刊誌アエラ10月15日号にジャーナリストの猪熊弘子さんが執筆している「こどもの城が閉館 子育て小国の証しか」という記事の中に、先週の厚生労働省からの説明にはなかった問題=「こども子育て新システムで国立の児童館への補助金がでなくなる」という問題が指摘されています。3連休があけたので、厚生労働省に電話でたずねました。

こどもの城・青山劇場を運営している「公益財団法人 児童育成協会」の23年度決算によると、事業活動の収入は約25億5700万円です。そのうち、国庫補助金は約4億4000万円です。国庫補助金の大半である約4億1700万円は、こどもの城ががプログラムを開発して、全国の児童館を巡回して普及するという、児童館のナショナルセンターとしておこなっている事業への補助金です。つまり、全国の児童館のレベルアップを国の責任でやっているということです。

この補助金の原資は、児童手当と同じところからでています。これまでの児童手当法は、29条の2で「政府は、児童手当の支給に支障がない限りにおいて、児童育成事業を行うことができる」とあり、これを根拠に、年金特別会計の児童手当勘定の枠で、こどもの城の事業への補助金がでていました。

ところが、8月10日に、「児童手当法改正」と「子ども・子育て支援法」が成立しました。

児童手当法改正では「児童育成事業」が「こども育成事業」と語句が変わっただけのように見えます。

ところが、「子ども・子育て支援法」では、69条で、
「 政府は、児童手当の支給に要する費用及び地域子ども・子育て支援事業(略)に要する費用に充てるため、次に掲げる者から、拠出金を徴収する。」

となっており、「こども育成事業」がなぜか、「地域子ども・子育て支援事業」におきかえられています。

「子ども・子育て支援法」の、59条を見ると、「地域子ども・子育て支援事業」は市町村がおこなう事業になっています。つまり、国立の施設である「こどもの城(青山劇場・青山円形劇場を含む)」は、児童手当勘定の枠からはずされているのです。

まるで、こどもの城(青山劇場・青山円形劇場を含む)を兵糧攻めにするかのような法改正です。
 
先週、厚生労働省からの説明に同席した際には、この点の説明はなく、もっぱら老朽化の117億円の説明でした。この法律は成立したのは8月ですが、国会に提出されたのは春でした。春ごろから、厚労省としては動きはじめていたということなのでしょうか。

しかし、この法改正は、プログラムを開発し、全国の児童館に普及するという国の児童館事業への責任を放棄するものです。法律上、児童手当勘定からだせなくなったとしても、厚労省が別枠で確保すべきものです。

東京駅も改修して100年使っています。改修すればさらに30年使えるという調査結果がありながら、なぜ、たった27年でこどもの城・青山劇場を閉館するのか。この疑問はつのるばかりです。